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自分の好きなものだけを詰め込んだ物語
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夕飯を食べ終わったあと、どうやらアーサーは用があったらしく先に帰ってしまった。

部屋に残ったのは耀と菊のみ。

「こうして二人きりで話すのは久しぶりあるね。」
「そうですね、一年ぶりです…。」
「そうあるね…。って一日ぶりあるよッ!!」
耀は思わず、人生初乗りツッコミをした。
「もー、何であるか!?菊は!!酷いにもほどがあるよ!!」
「私よりもうんと爺さんなんですから、これくらいは受け流してくださいよ。」
「受け流せるものにも限界があるよ!!」
耀は少し自分がツッコミキャラではないかと思ってしまった。

「何だか、初めて会った時のことを思い出すある…。」
菊も無言のうち「そうですね…。」と頷いた。

二人は菊が幼い頃に出会い、昔はよく耀に色んな場所へ連れて行ってもらっていた。
其の時は必ず耀が菊の小さな手のひらを引いていた。
幼い頃の菊はいつかあの耀と同じくらいの大きな手のひらになりたいと思っていた。
その思いは今も変わることはない。

「菊、菊は今でも我のことを兄だと思っていてくれているあるか?」
「それは、当たり前です。昔から私は貴方に育てられたんですから…。」

「そっか、それはよかったある…。」
其のときの耀の顔は何か物思いにふけっているかのようだった。
「我も菊のことは大事な弟でもあるし、何より我は菊のことが…」

と言いかけた瞬間。

戸の開く音がした。
そこには、用があり出掛けていたはずのアーサーが立っていた。
気のせいか顔が引きつっている。

そして、何かの間違いか耀はその台詞を続けてしまったのだ。
「大好きあるよ。」
堂々と菊の方をむいて続けてしまった。

「…。」
全員無言。アーサーの痛い視線、耀は菊へと向き直り、菊は正面を向いていた。
いい訳など、全員必要なかった。
菊は心底「嗚呼、大変なことになってしまった。」と後悔した。

アーサーはふらふらとおぼつかない足取りで菊と耀に歩み寄り、一言耀に言う。

「今、なんつった?」

完全にアーサーの元ヤンが発動していた。
しかも、アーサーがキレていることに耀は気付いていない。
「うん?『菊のことが大好きあるよ』って言っただけあるよ?」
笑顔でキッパリと死語を言ってしまった。
これは、アーサーをキレさせるには十分すぎる材料であった。

アーサーの周りの空気が黒い。
「ざけんなよ、菊は俺のものなんだよ、嗚呼!?」

菊はどうしたらいいのか分からず固まってしまった。

そして一方耀も…。
「何を言ってるあるか!?菊は我の弟であり、我は菊の親ある!貴様なんぞにやった覚えはないあるね!!」

どうやら、どっちもキレたようであった。
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